2006 年 35 巻 3 号 p. 151-154
新生児期発症の解剖学的肺動脈閉鎖を伴った重症Ebstein奇形の1手術例を経験したので報告する.症例は生後8日の女児,39週4日自然分娩で出生,生直後より心雑音,チアノーゼを認め,心エコーでEbstein奇形,肺動脈閉鎖と診断された.LipoPGE 1を投与し動脈管を開存させ,肺血流を確保しつつ心不全治療を行ったが,心不全が増強するため出生後8日目に手術を行った.手術は体外循環下に三尖弁口閉鎖,心房間交通作製,右房縫縮を行った.生後60日目にBlalock-Taussig変法を行ったが,心不全のため強心剤からの離脱ができなかった.生後10ヵ月目に両方向性Glenn手術を行い,軽快退院した.2歳6ヵ月時にtotal cavopulmonary connection (TCPC)を行った.術後18ヵ月の現在も元気に日常生活を送っている.