日本心臓血管外科学会雑誌
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完全房室ブロックを初発症状とし上大静脈症候群を呈した心臓原発悪性リンパ腫の1例
園田 拓道城尾 邦彦梅末 正芳松崎 浩史松井 完治
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2006 年 35 巻 5 号 p. 264-267

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抄録
心臓原発悪性リンパ腫は心臓または心外膜に限局する節外性悪性リンパ腫でありきわめて希な疾患である.今回,完全房室ブロックを初発症状とし,そののち上大静脈症候群を呈した心房中隔由来と思われる心臓原発悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.症例は65歳,女性.完全房室ブロックのため永久ペースメーカー植込み術を施行した.術前の心エコー検査では心臓内腫瘤は認めなかったが,その約6週間後に上大静脈症候群を発症した.心エコー検査では,心房中隔を中心とし右房内を占拠する巨大な腫瘤(径6×5cm)を認め,その一部が上大静脈-右房接合部に嵌頓していた.体外循環下に腫瘤を部分切除し上大静脈症候群を解除するとともに病理組織学的検査を行い悪性リンパ腫(diffuse large B-cell type)と診断した.術後諸検査により心臓以外のリンパ腫病変を認めなかったため,心臓原発悪性リンパ腫と診断し化学療法(T-COP療法)および自家末梢血幹細胞移植を行い完全寛解を得た.
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