日本栄養士会雑誌
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在宅訪問栄養食事指導による栄養介入方法とその改善効果の検証
井上 啓子中村 育子髙﨑 美幸前田 玲齋藤 郁子前田 佳予子田中 弥生
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2012 年 55 巻 8 号 p. 656-664

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抄録

在宅訪問栄養食事指導(訪問栄養指導)を広げていくために、管理栄養士がどのような訪問栄養指導を展開し、それにより、在宅高齢者の栄養素等摂取量や栄養状態がどのように改善するかを検討した。対象は訪問栄養指導を利用している62 例(男性24 例、女性38 例、年齢76 . 2±7 . 6 歳、要介護度3 . 0±1 . 6)。平成22 年7~9 月を介入時とし、mini nutritional assessment (MNA®) による栄養評価、食事摂取量調査、生活の質 (QOL)、activities of daily living (ADL) 調査を行い、その3 カ月後に同じ調査を実施した。MNA® では、82% が栄養不良もしくはリスク者であり、3 カ月の指導期間中に入院などの理由により9 例が脱落した。訪問栄養指導のニーズは、「体重を管理したい」、「間食の管理をしたい」などが多く見られた。指導継続者は53 例で、訪問栄養指導により3カ月後のエネルギー、たんぱく質などの栄養素等摂取量が有意に増加した。また、それに伴い体重は有意に増加し、MNA®、QOL およびADL が有意に改善した。これらの結果から、訪問栄養指導は、在宅高齢者のQOL およびADL の向上に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。

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© 2012 公益社団法人 日本栄養士会
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