日本栄養士会雑誌
Online ISSN : 2185-6877
Print ISSN : 0013-6492
ISSN-L : 0013-6492
55 巻, 8 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
  • 中村 早緒里, 高橋 志乃, 前田 予子
    2012 年 55 巻 8 号 p. 646-655
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/04
    ジャーナル フリー
    咬合力や咀嚼力と運動の関連性に着目し、咬合力アップ運動を導入して、その効果とQOL の維持および向上をめざすことを目的とした。 対象者は70 歳以上の独居高齢者で、運動に参加した者(介入群)12 名と運動に参加しなかった者の中から無作為に抽出された者(非介入群)31 名である。平成21 年9 月から23 年9 月までを介入期間とした。1 回あたり30~40 分間の運動を毎月2 回行った。運動の内容は準備運動、口腔機能向上トレーニング、運動器機能向上トレーニングおよび整理体操であった。客観的データとして、身体測定と口腔機能判定を両群共に毎年行った。また、質問紙を用いた面接聞き取り法にて介入群にはMNA®、食生活調査、ADL、食物摂取頻度調査を、非介入群にはMNA®、食生活調査を毎年行った。 介入群では、握力、咬合力、咀嚼力は現状維持が見られた。 介入群と非介入群の比較において、咬合力では開始時から開始1 年後の変化率が非介入群は減少したのに対し、介入群は増加しており、有意な差が見られた(p=0 . 020)。MNA® では、開始1 年後のポイントが非介入群は減少したのに対し、介入群は増加しており、有意な差が見られた(p=0 . 013)。 全身運動を組み合わせた咬合力アップ運動により握力、咬合力、咀嚼力の現状維持が見られたことから、介護予防をめざした高齢者の健康づくりに咀嚼力と咬合力の維持・向上を組み込んだ総合的な支援は、QOL の維持および向上に有用であることが示唆された。
  • 井上 啓子, 中村 育子, 髙﨑 美幸, 前田 玲, 齋藤 郁子, 前田 佳予子, 田中 弥生
    2012 年 55 巻 8 号 p. 656-664
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    在宅訪問栄養食事指導(訪問栄養指導)を広げていくために、管理栄養士がどのような訪問栄養指導を展開し、それにより、在宅高齢者の栄養素等摂取量や栄養状態がどのように改善するかを検討した。対象は訪問栄養指導を利用している62 例(男性24 例、女性38 例、年齢76 . 2±7 . 6 歳、要介護度3 . 0±1 . 6)。平成22 年7~9 月を介入時とし、mini nutritional assessment (MNA®) による栄養評価、食事摂取量調査、生活の質 (QOL)、activities of daily living (ADL) 調査を行い、その3 カ月後に同じ調査を実施した。MNA® では、82% が栄養不良もしくはリスク者であり、3 カ月の指導期間中に入院などの理由により9 例が脱落した。訪問栄養指導のニーズは、「体重を管理したい」、「間食の管理をしたい」などが多く見られた。指導継続者は53 例で、訪問栄養指導により3カ月後のエネルギー、たんぱく質などの栄養素等摂取量が有意に増加した。また、それに伴い体重は有意に増加し、MNA®、QOL およびADL が有意に改善した。これらの結果から、訪問栄養指導は、在宅高齢者のQOL およびADL の向上に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
feedback
Top