抄録
通所介護事業所では、定期的に利用者の体重測定を実施している事業所が少なく、栄養指標として最も重要な項目の1つである体重減少率を算出できない場合が多い。そこで本研究では、通所介護事業所における栄養スクリーニング項目としての体重減少率の有無が低栄養状態のリスク判定に与える影響を調べることを目的とした。通所介護事業所利用者92人を対象とし、体重減少率を含めて低栄養状態のリスク判定を行った場合と、体重減少率を除外した場合との差を比較検討した。本研究対象者の約4割が低栄養状態の中・高リスクに判定された。体重減少率を除外した場合、低リスクと判定された利用者のうち25.6%は体重減少率を含めると中・高リスクに該当した。栄養スクリーニング時に体重減少率が算出できない場合の低栄養状態のリスクは本来より軽く見積もられ、低リスクに判定された利用者の中に低栄養状態の利用者が含まれる可能性が示唆された。