日本栄養士会雑誌
Online ISSN : 2185-6877
Print ISSN : 0013-6492
ISSN-L : 0013-6492
地域在住高齢者を対象にした栄養相談の介入効果
伊藤 喜久子金光 秀子北林 蒔子大和田 浩子
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 68 巻 10 号 p. 573-582

詳細
抄録

高齢者の介護予防と健康づくりを視野に、地域在住高齢者における身体状況や栄養・食事等の実態把握と、個別の栄養相談(介入)の効果を検証することを目的とし、地域在住高齢者48人(男性6人、女性42人)を対象に簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)、握力測定、身体と生活状況調査を介入前後に行い、対象者の実態と介入後の変化を比較した。対象者は、おおむね栄養状態・身体活動機能が維持された集団であったが、個別で見ると低栄養リスクありの者、低握力者、BMI 21.5(kg/m2)未満の者が存在し、要介護につながる疾病を持つ者が多くいることが明らかになった。管理栄養士による、約3カ月の栄養相談(介入)を実施した結果、低栄養リスクありの者は減少し、また、「食塩についての相談」を希望した対象者は、食塩摂取量の減少だけでなく、調味料や他の食品摂取量については若干の改善も見られた。比較的QOLが維持されている高齢者に対して、早期から介護予防と健康づくりのための普及啓発活動と実践的な栄養相談(介入)に管理栄養士が継続的、長期的に関わる意義があることが示唆された。

著者関連情報
© 2025 公益社団法人 日本栄養士会
次の記事
feedback
Top