日本食物繊維学会誌
Online ISSN : 1884-5592
Print ISSN : 1349-5437
ISSN-L : 1349-5437
ラットにおけるD-ガラクトサミン肝障害に対する食物繊維由来オリゴ糖断片の抑制作用機序の研究
耿 欣王 暁坤江頭 祐嘉合真田 宏夫
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 9 巻 1 号 p. 47-57

詳細
抄録
 この研究はトウモロコシ外皮ヘミセルロースから酵素処理によって得られた分子量286-930にあるオリゴ糖によるD-galactosamine肝障害の抑制メカニズムを解明するために行われた。4週齢の雄Wistarラットにこのオリゴ糖を7日間投与した。7日目にD-galactosamine肝障害を起こしたラットについて,このオリゴ糖が血中のエンドトキシン,サイトカイン含量および肝臓のアポトーシスに及ぼす影響を調べた。その結果,このオリゴ糖の添加により,明らかに血中エンドトキシンおよびTumorNecrosisFactor(TNF-α)レベルの上昇が阻止された。しかし,血中のInterferon-γ(IFN-γ)含量および肝臓DNAの断片化に対してこのオリゴ糖はほとんど影響を与えないことが示唆された。従って,トウモロコシ外皮ヘミセルロースから酵素処理によって得られたオリゴ糖によるD-galactosamine肝障害への抑制作用はこのオリゴ糖の血中エンドトキシンおよびTNF-α レベルの上昇に対する抑制作用によるものであると考えられた。
著者関連情報
© 日本食物繊維学会
前の記事 次の記事
feedback
Top