2021 年 26 巻 2 号 p. 55-61
近年、自然災害発生の頻度が増加し、ASEANは人的、経済的に大きな災害被害を受けてきた。ASEANは防災および災害対応にかかる域内協力を重視し、各国が協働して対応する能力を向上させ、災害に対応することを目指している。我が国は、自然災害多発国として、被災および対応経験、国際・国内緊急医療チームの制度など、災害医療分野の経験や知見を多く有している。JICAは、タイ国を支援し、3年間をプロジェクト期間とする「ASEAN災害医療連携強化プロジェクト」を2016年7月に開始した。本プロジェクトは、ASEAN地域の災害医療の域内連携の実践訓練、連携ツールの開発、研修の実施などを通じて、同地域における災害医療の連携体制の強化を目指すものである。期間中に、当初の予定通り活動を実施し、成果を挙げた。2019年7月から、21ヶ月のプロジェクト延長を行い、さらなるASEAN内の災害医療の連携体制の強化を目指している。