2023 年 28 巻 1 号 p. 45-50
【背景】災害による停電は医療機関に大きな影響を与える。南海トラフ地震の被害想定では非被災地への透析患者搬送困難が予想される。地域にあるEV(Electric Vehicle)であるBEV(Battery Electric Vehicle)/PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)/FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle:燃料電池自動車)の電力で透析施設を動かすことができれば、災害時に地域での透析が可能になる。【目的】本研究では、FCEVと可搬型外部給電器を使用して個人透析機器をトラブルなく稼働させることが可能か明らかにする。【方法】FCEVから可搬型外部給電器を経由して個人透析機器に給電し閉鎖回路で模擬運転させた。【結果】FCEVと可搬型外部給電器により最後まで電気が供給され、透析機器のアラーム発生などはなかった。【考察】災害時にはFCEVと可搬型外部給電器により個人透析装置は稼働可能と思われる。施設での透析機器稼働には、より大きな電力が必要となり、その試算が必要となる。透析実施に必要な水の確保が課題として残る。