2024 年 41 巻 2 号 p. 105-107
「甲状腺腫瘍診療ガイドライン2024」では,新たな試みとして「甲状腺手術にともなう合併症,安全管理」の項目を設けた。疾患そのものや治療後の予後に関するエビデンスではなく,治療結果としての患者に及ぼされる害に焦点を当て,その頻度や対処法,予防法について解説した。甲状腺腫瘍診療ガイドラインの目的である,「甲状腺腫瘍に悩む患者の健康アウトカムを高めること」を目指す中において,「エビデンスに基づく意思決定を可能にすること,甲状腺診療を標準化すること」には,「甲状腺手術にともなう合併症と安全管理」についての記載が必要であると考えた。予想された通りエビデンスの少ない分野であったが,患者と医療者の双方を守るためには重要な解説であろうと思われる。今後の臨床的検討や議論に基づいて更新されていくことを期待している。