日本災害医学会雑誌
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体験レポート
令和6年能登半島地震における透析患者避難と今後の課題—石川県保健医療福祉調整本部の活動—
安間 圭一 小見 亘
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2025 年 30 巻 3 号 p. 132-137

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抄録

令和6年能登半島地震において、石川県保健医療福祉調整本部は、透析患者の避難調整を実施した。石川県透析連絡協議会と連携し、搬送先の選定と搬送手段の確保を役割分担し、自衛隊や民間救急機関と協力して167名の患者を安全に避難させた。一方で、指揮系統の混乱や情報共有の不足、避難対象者の把握の不備などの課題が明らかとなった。災害時における透析患者の迅速かつ安全な避難を実現するため、初動段階からの多職種連携の強化、情報共有体制の整備、明確な役割分担と責任体制の確立が求められる。また、透析患者情報共有システムの構築や、災害時の避難手順を定めたプロトコルの策定も重要である。これらの取り組みにより、今後の災害時においても透析患者の安全かつ迅速な避難を実現し、限られた医療資源の最適な活用を図ることができると考えられる。

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