歯科材料・器械
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原著
25〜45wt%Pdを含む鋳造用Ag-Pd-Cu三元合金の諸性質
中村 健吾後藤 真一中村 哲也
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1992 年 11 巻 2 号 p. 363-373

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抄録
パラジウムを25, 30, 35, 40wt%, 銅を15, 25, 30wt%含み, 残量35〜60wt%を銀とする12種のAg-Pd-Cu三元合金を溶製し, 歯科精密鋳造法に準じて鋳造した.800℃で溶体化処理したのち水中急冷処理(軟化熱処理)し, さらに450℃から250℃まで炉冷処理(硬化熱処理)して, それらの機械的性質と耐変色性を調べた.軟化熱処理したときの実験合金の引張強さは, 39〜57kgf/mm2, 伸びは14〜28%の範囲内にあったが, 硬化熱処理を加えると, 引張強さは66〜107kgf/mm2に増加し, 伸びは1〜7%に低下した.硬化熱処理時に引張強さが最大となった推定組成は, 34〜35Pd-20Cu-45〜46Agで, 推定引張強さは104±3kgf/mm2であった.ビッカース硬さは軟化熱処理時141〜200, 硬化熱処理時241〜431の範囲内にあり, パラジウム量, 銅量が増すにつれて増加した.37℃0.1%硫化ナトリウム溶液中に3日間全浸漬した試験片の明度L*は60〜67の範囲内にあり, パラジウム量が多く, 銅量の少ないほど良くなる傾向がみられた.
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© 1992 一般社団法人 日本歯科理工学会
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