抄録
メタクリル酸ブチル(BMA)とメタクリル酸エチル(EMA)とを用い, 組成と分子量の異なる共重合体を懸濁重合法により合成した.これらの粉末とブチルフタリルグリコール酸ブチルとの混合物の貯蔵弾性率G', 動的粘性η'損失正接tanδの周波数および温度依存性を求めた.これらの測定値からG', η'およびtan δ のマスターカーブを作成することができた.G'やtanδに対するポリマーの分子量の影響が, 特に低い周波数領域で顕著にみられた.PBMA系の材料は, 長い側鎖の内部可塑化の影響を受けるので, PEMAを用いた従来の材料よりもG'が小さくなった.高周波数領域では, PBMA系のtanδはPEMA系のそれよりも小さく, 低周波数領域では逆に大きくなった.このような粘弾性特性は本材料にとって長所ともなり得るものである.すなわち, 従来の材料は経時的に固くなるのに対し, 試作材料はやわらかく, しなやかな性質を有する.共重合体の組成と分子量を適切に調節すれば, さらに優れた性質をもつティッシュコンディショナーの製造が可能であると思われる.