歯科材料・器械
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原著
光重合型コンポジットレジンの象牙質接着性に及ぼす水の影響
福島 忠男宮崎 光治山田 清夫本川 渉
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1992 年 11 巻 5 号 p. 837-843

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抄録
光重合型コンポジットレジンの37%リン酸溶液(PA溶液)処理および10%クエン酸-3%塩化第二鉄溶液(10-3溶液)処理象牙質への接着性に及ぼす水の影響を検討するために, 2-methacryloxyethyl hydrogen maleate(2MEM)含有ボンディング剤を用いて作製した試料の水中浸漬24時間, 1ヵ月, 3ヵ月, 6ヵ月および1年後の接着力を測定した.PA溶液処理象牙質への接着力は水中浸漬6ヵ月までは変化なく, それ以上水中浸漬すると有意に低下した.しかし, 10-3溶液処理の場合は接着力の変化は認められなかった.接着界面に厚さの異なる耐酸性象牙質層がSEMで観察でき, 層の厚さはPA溶液処理で約5μm, 10-3溶液処理で約2μmであった.PA溶液処理の場合, 24時間水中浸漬した試料の接着破壊はおもに界面剥離と接着界面近傍の象牙質凝集破壊であった.また, 1年間水中浸漬後のものはレジンの凝集破壊, 象牙質の凝集破壊および接着界面剥離であった.10-3溶液処理の場合も24時間水中浸漬したものは界面剥離と接着界面近傍の象牙質の凝集破壊であった.1年間水中浸漬したものには部分的にレジンの凝集破壊が生じていたが, その他は水中浸漬24時間と殆ど同じであった.
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© 1992 一般社団法人 日本歯科理工学会
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