歯科材料・器械
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原著
フッ素系ポリマーを利用したアクリル系床用裏装材の試作とその性質に関する研究
平野 博英
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1993 年 12 巻 1 号 p. 104-116

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抄録
この研究の目的は床用裏装材としての新しいレジンの試作とその評価である.フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(2-6F)と10%のトリメチロールプロパントリメタクリレートを含むメチルメタクリレートからなる組成物を材料とした.この材料に光重合と化学重合の開始剤を添加しデュアルキュアー型とした.同じ2-6Fとモノマーの組成物からなる光重合型と化学重合型の裏装材および市販床用裏装材のリベロン, リベロンLC, トクソーリベースを用い, 理工学的性質, 適合性, 耐汚染性および細胞毒性について比較・検討を行った.今回試作したフッ素系デュアルキュアー型レジンは同じ組成の化学重合型のレジンよりも光重合型のレジンに近い性質を示した.市販裏装材との比較においては, 理工学的性質および適合性の点では同程度か, あるいはより優れた性質を示し, 耐汚染性および細胞毒性の低さの点では市販裏装材よりもかなり優れていた.従って, 試作したレジンは床用裏装材にふさわしい種々の性質を有していることが示唆され, 臨床応用が期待される.
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© 1993 一般社団法人 日本歯科理工学会
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