歯科材料・器械
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原著
セメント泥の放置時間および被着体の表面粗さが合着用セメントの被着体に対する接触角に及ぼす影響
吉田 修日比野 靖
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1993 年 12 巻 2 号 p. 215-224

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抄録

本研究の目的はセメント泥の放置時間ならびに被着体の表面粗さが合着用セメントの被着体に対する接触角と接着強さに及ぼす影響について検討することである.
4種類の歯科用合金(Au-Ag-Cu合金, Ag-Pd合金, Ni-Cr合金およびチタン)に対する合着用セメント(リン酸亜鉛セメント, カルボキシレートセメントおよびグラスアイオノマーセメント)の接触角ならびに接着強さの測定をすでに報告した方法に従い行った.セメント泥の放置時間は練和終了後15, 30ならびに60秒とし, また各歯科用合金表面をシリコンカーバイドペーパー120, 400および600番にて研磨を行った.その結果, 歯科用合金の種類を問わずセメント泥の放置時間が長くなるに従い各セメントの接触角が大きくなる結果を示した.カルボキシレートセメントおよびグラスアイオノマーセメントの接着強さはセメント泥の放置時間を変化させても差は認められなかった.また, 歯科用合金の種類を問わずリン酸亜鉛セメントおよびグラスアイオノマーセメントの接触角は被着体の表面粗さが大きくなるに従い大きくなる結果を示したが, カルボキシレートセメントでは差が認められなかった.カルボキシレートセメントおよびグラスアイオノマーセメントの接着強さはシリコンカーバイドペーパー400番にて研磨を行った場合に最も大きな結果を示した.本研究より鋳造修復物はセメントの練和終了後一定の操作時間を持って接着操作を行うことが可能であることが示唆された.

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© 1993 一般社団法人 日本歯科理工学会
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