抄録
耐熱性副模型を用いて作製するオールセラミックス・クラウンの寸法精度を評価する目的で実験を行った.材料には, 市販オールセラミックス・クラウン用陶材4種を用い, それぞれメーカー指示の工程にてクラウンを作製し, 母模型に対する耐熱性副模型およびクラウンの寸法精度を測定し, クラウンの変形をフィットチェッカーおよびバイトチェッカーにて検討した.また, 実験に使用した各種耐熱性模型材および陶材の熱膨張の測定, 焼成した陶材と耐熱性副模型との界面の分析を行った.
耐熱性副模型は母模型に対し全て膨張傾向を示した.オールセラミックス・クラウンの適合性は耐熱性副模型上で直接クラウンを完成する方式では母模型に対し適度な膨張傾向を示し, 良好な適合が得られたが, 耐熱性副模型上でコアのみを作製する方式のもので焼成温度の高い陶材を用いるものは大きな収縮傾向を示した.この原因としては, 陶材の焼結収縮応力による耐熱性副模型の収縮および陶材と耐熱性副模型との焼付き等にあるのではないかと考えられた.クラウンの変形は耐熱性副模型の変形に主要因があると思われた.