抄録
床用レジンの重合条件を再検討するため, 可能な限り酸素による影響を排除した条件で重合を行った. 減圧乾燥して吸着酸素と水分を除去したPMMA粉末と蒸留精製したMMAを用いてアルゴンガス雰囲気下でドウを作製後重合したレジンの, 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定した残留モノマー量, ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による分子量分布および3点曲げ試験法によって測定した曲げ強さを従来法によるものと比較した. また曲げ試験後の破断面をSEM観察した.
改良法のレジンでは従来法のものよりもモノマーの溶出は有意に少なく(p<0.01), 低分子量のポリマーの少ない重合物であった. また, 改良法のレジンは曲げ強さが従来法によるものよりも有意に高い値を示した(p<0.05). SEM観察から改良法によって得られたレジンのPMMAのパールとマトリックスレジンの界面に欠陥が少ないことが分かった.