抄録
貴金属合金に対する接着性モノマーとしてチイラン系モノマーである2, 3-エピチオプロピルメタクリレート(EP1MA)と4, 5-エピチオペンチルメタクリレート(EP3MA)を合成した.被着体合金として金合金, パラジウム合金および銀合金を用いた.鏡面研磨した被着体の表面にチイランのエタノール溶液を塗布して1日放置した.チイランの濃度が高い(1mol%)場合には, レジンの接着に先立って処理した表面を洗浄した.2個の合金の試料同士をMMA-PMMA系レジンで突き合わせ接着させた.接着させた試料に4と60℃の熱サイクルを2, 000回負荷した後, 引張接着強さを測定した.貴金属合金の表面をEP1MAあるいはEP3MAで処理すると接着強さが有意に向上することが認められた.その効果はEP1MAよりもEP3MAの方が優れていた.合金をEP3MAで処理しMMA-PMMA/TBBO系レジンで接着させた場合は, 表面処理剤中のEP3MAの濃度を1から0.01mol%に減少させても高い接着強さが維持された.