抄録
円板状のチタンプレート上で球状に成形した6種類の修復材料を旋回させて動的抽出した後, 試料の重さ, 旋回速度および抽出期間の諸条件を変えて抽出液および濾液を採取し, それらの細胞生存率への影響を検討した.その結果, チタンプレートとタイプIII金合金, 金銀パラジウム合金, チタンおよび化学重合型コンポジットレジンとを組み合わせた場合, いずれの抽出条件においても細胞生存率は対照群とほぼ等しかった.チタンプレートとコバルトクロム合金およびニッケルクロム合金の組み合わせでは, 試料の重さ, 旋回速度あるいは抽出期間の増加とともに細胞生存率は減少した.また, 抽出液と濾液の細胞生存率に差は認められなかった.さらに, 血清添加培養液中で抽出すると, 細胞生存率は低下した.抽出条件によって組み合わせ間で細胞生存率に相違が認められ, 本試験法が材料間の動的接触を考慮した試験法として有効であることが明らかとなった.