抄録
コンポジットレジンの力学的特性を向上させるために, 鎖長の異なるω-Methacryloxy alkyl trimethoxysilane(以下ω-MATSと略す)を合成し, これらを用いて表面処理したシリカガラス板について, 処理面に対する水の接触角およびpoly bis-GMAの接着強さを測定し, ω-MATSの鎖長が処理効果に及ぼす影響を検討するとともに, シラン処理剤の吸着機構を検討した.その結果, アルキレン鎖が長くなるにつれて, 水の接触角およびpoly bis-GMAの接着強さは上昇し, 処理効果は大であった.また, 有機溶媒でシラン処理ガラス面を洗浄して得られた化学吸着層へのpoly bis-GMAの接着強さは, 無洗浄に比べて大きく低下し, 界面ですべて剥離したことから, シラン処理剤の多分子吸着層がレジンとの接着に関し, 重要な役割を果たしていると推定された.