歯科材料・器械
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原著
電子スピン共鳴法(ESR)によるリベース用常温重合レジンの研究 : 活性剤および抑制剤の重合反応に及ぼす影響
安藤 雅康山内 六男川野 襄二
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1987 年 6 巻 4 号 p. 522-528

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抄録
義歯床と粘膜面の不適合を是正するため, 常温重合レジンで裏装する直接リベース法が広く用いられている. これにはMMA系レジンが使用されており, リキッドとパウダーを練和した時からラジカル重合で反応が進む. しかしながら, 活性剤や抑制剤によりこの重合度は大きく変化する. 本研究では, 電子スピン共鳴法 (ESR) を用いリベース用常温重合レジンの生長ラジカルを直接検討した. その結果, 以下の結論を得た. (1) 37℃の生体温度において, 練和後5.5分でラジカルが最初に検出され, その直後から27分まで急激にラジカル濃度が増大した. その後, ラジカル濃度の減衰が認められたが3,656分以上安定的に残留した. (2) 重合温度が高いほど, 重合反応が促進されラジカルの残留時間が短縮した. また, 最大ラジカル濃度は減少した. (3) 活性剤 (N, N-Dimethyl-p-toluidine) の増量は, 誘導期および生長期での重合反応を促進させたが, 同時に最大ラジカル濃度も増大させた. (4) 抑制剤 (Hydroquinone) の増量は, 最大ラジカル濃度には影響を与えなかったが, 誘導期, 生長期のみならず停止期まで重合反応を遅延させた.
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© 1987 一般社団法人 日本歯科理工学会
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