歯科材料・器械
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原著
MMA-TBBO系接着性レジンの象牙質への接着機構について—脱灰象牙質を用いたモデル実験—
秋元 隆宏門磨 義則今井 庸二
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1990 年 9 巻 2 号 p. 320-325

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抄録
象牙質に対するMMA-TBBOレジンの接着メカニズムを理解するためのモデル実験として, フッ化第二銅(CF), フッ化第二鉄(FF), および一般に象牙質への処理液として使われている塩化第二鉄(FC)のクエン酸(CA)溶液で処理した脱灰象牙質シート存在下にMMA-TBBOレジンの重合を検討した.MMA-TBBOレジンの硬化時間は, 適度な濃度のFC-CA, CF-CA, FF-CA溶液で処理した脱灰象牙質シート存在下で速くなった.MMA-TBBOレジンの重合はフッ素イオン存在下において促進された.PMMAの分子量は重合した場所により異なり, 適度な量の鉄イオン, 銅イオン存在下では脱灰象牙質シートの内側で重合したPMMAの分子量が最も大きく, 外側で重合したPMMAの分子量が最も小さかった.これらの結果は, 脱灰象牙質に吸着された鉄塩がMMAの重合に関与し, その結果として象牙質へのMMA-TBBOレジンの接着にも影響を及ぼしているだろうということを示唆している.
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© 1990 一般社団法人 日本歯科理工学会
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