抄録
本研究の主な目的は,以下の2点について検討することにある。第1に,攻撃する側が攻撃を行うに至った原因(相手の行為や攻撃する側の意図)を文脈にそってタイプ別に分類する。第2に攻撃行動のタイプと,性別,仲間内地位および,攻撃加害者の人数について明らかにする。本研究では,幼稚園年長児34名(男児16名・女児18名)の自然発生的に生起する攻撃行動を1年間観察した。1年間に160の攻撃事例が観察され,観察された幼児の攻撃行動は,直接的-道具的攻撃と直接的-脅し攻撃および,関係性攻撃の3つのタイプに分類された。2つの直接的攻撃は女児に比べて男児に,関係性攻撃は男児に比べて女児に多く観察された。さらに,関係性攻撃は,核児が他の地位の子どもと比較して最も多く行っていた。また,孤立児が関係性攻撃の被害を最も多く受けていた。