抄録
学習時における児童・生徒の援助要請および情報探索に対する達成目標の影響が,学年によってどのように発達するのかを,小学校4年生から中学1年生を対象に,調査した。その際に,学年ごとのモデルの潜在変数の同質性を保証するために,多母集団の同時分析を行った。その結果,学習目標が援助要請の利得感に正の影響を与えること,遂行目標が援助要請の利得感に正の影響をもたらすこと,援助者に対する援助性認知が,援助要請の利得感に正の影響を与えることが示された。また,援助要請の利得感の方が,援助要請の損失感よりも,実際の援助要請行動に影響していた。最後に,情報探索行動には,どの学年においても,学習目標が正の影響を与え,遂行目標は有意な影響を与えなかった。