発達心理学研究
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学級での疎外感と教師の態度が情緒的な問題行動に及ぼす影響と自己価値の役割
西野 泰代
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2007 年 18 巻 3 号 p. 216-226

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抄録
小学6年生〜中学3年生933名を対象に質問紙調査を行い,情緒的な問題行動の生起メカニズムについて検討を行った。「学級での疎外感」と「教師の態度」という先行要因から「情緒的な問題行動」という結果へ至る過程に「自己価値」を介在させた仮説モデルに基づき,学校段階(小学生と中学生)と性に差があるモデルと差がないモデルを設定した多母集団の共分散構造分析を実施して,探索的に検討した。その結果,検討したモデルでは性に差が認められ,また,この時期の子どもたちの「情緒的な問題行動」には「学級での疎外感」と「自己価値」が直接の影響を及ぼしていることが示された。「学級での疎外感」は「情緒的な問題行動」を促進する方向に,「自己価値」は「情緒的な問題行動」を抑制する方向に影響を及ぼしていた。「教師の態度」は「情緒的な問題行動」を引き起こす規定要因ではなかった。また,「自己価値」の緩衝効果について,重回帰分析を用いて検討した結果,学級での疎外感が,情緒的な問題行動を促進する程度は,自己価値低群に比べ自己価値高群において減じられていることがわかり,自己価値が緩衝効果をもつことが明らかになった。
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© 2007 一般社団法人 日本発達心理学会
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