発達心理学研究
Online ISSN : 2187-9346
Print ISSN : 0915-9029
夫婦間の信頼感と両親からの支持的関わりが若者の心理的健康に与える影響の男女差
大島 聖美
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2013 年 24 巻 1 号 p. 55-65

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抄録

両親の夫婦関係が子の心理的健康に影響することはよく知られているが,親子の性別による影響の受け方の違いに関する研究は少ない。本研究の目的は,両親の夫婦関係(夫婦間の信頼感)と両親から子への支持的関わりの両者が青年期後半の息子及び娘の心理的健康に与える影響の男女差を検討することである。そのため,父親用,母親用,若者用の質問紙を作成し,若者(男性140名,女性153名:平均年齢22.4歳)とその両親293組を対象に質問紙調査を実施した。分析の結果,両親の夫婦間の信頼感は相互に影響しあいながら,母親・父親それぞれの子への関わりに影響を与えていることが示された。息子の場合,父母から子への支持的関わりが多いほど,息子も父母から多くの支持的関わりを受けたと認識する傾向が見られた。一方で娘の場合,夫への信頼感が高い母親の娘ほど,父母から支持的な関わりを多く受けていると認識していることが示唆された。また,息子・娘ともに両親から支持的な関わりを受けていると認識しているほど,抑うつは低く,幸福感は高くなることが示された。

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© 2013 一般社団法人 日本発達心理学会
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