本研究では,自由時間における多様な活動(学習,読書,外遊び,テレビ,ゲーム,携帯電話)が,小中学生の心理社会的適応,具体的には,学業面(学業成績)および情緒・行動面(向社会的行動,友人関係,抑うつ,攻撃性)にどのような影響をもたらすかを,5408名の小中学生から得られた大規模な縦断データ(男子2729名,女子2679名)に基づいて体系的に検証した。因果関係の検証に用いた2つのモデル(遅延効果モデルと同時効果モデル)の結果はほぼ一致しており,(1)学業面に対しては学習,読書が肯定的な効果を持つ一方で,外遊びが否定的な効果を持つこと,(2)情緒・行動面に対しては,外遊び,学習が肯定的な効果を持つ一方で,読書,ゲーム(単独プレイ)が否定的な効果を持つことが示された。こうした結果から,学業面の発達には屋内での認知処理を伴う活動,情緒・行動面の発達には友人や親などの他者との相互作用を伴う活動が寄与することが示唆された。これらの結果は欧米の研究知見とは必ずしも一致しておらず,わが国の社会文化的特徴を色濃く反映したものであると考えられる。