発達心理学研究
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一事例実験のデザインと分析方法について
山田 剛史
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2022 年 33 巻 4 号 p. 287-303

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抄録

一事例実験は,1960年代から応用行動分析の世界では標準的な研究手法として多用されてきた。一方で,それ以外の研究領域でこの研究手法が注目されることはまれであった。しかし,エビデンスに基づく実践(Evidence Based Practice:EBP)からの要請もあって,近年,臨床心理学や発達心理学を含めて様々な研究領域で一事例実験への注目が高まっている。本稿では,一事例実験についての基本的な解説を行うことを目的とする。具体的には,一事例実験の基本的な性質と,応用研究でよく利用される一事例実験の代表的なデザインの特徴と問題点を紹介すること,さらに,一事例実験で得られたデータの分析方法として,視覚的判断と統計的方法について解説すること,を目的とする。さらに,一事例実験の研究の質を評価するための基準,とくに,WWCのスタンダードについて述べ,WWCが求める一事例実験の研究の基準について紹介する。

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© 2022 一般社団法人 日本発達心理学会
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