抄録
多自由度筋電義手を操作するため,識別器を用いて筋電位信号から手の動作意図を推定する手法(動作識別法)が研究されてきた.しかし,前腕切断者について動作識別法の有効性は十分に調べられていない.そこで,本研究では筋電位に基づいて動作識別を行うための訓練を受けていない,幅広い属性を持つ7名の前腕切断者を対象に,動作識別法の有効性を検討した.決まった順序で提示される5種の動作例に従って筋収縮した時の筋電位を計測し,この筋電位から抽出される筋電位パターンに対して,4種の異なる識別器を用いた動作識別法により動作識別実験を行った.この結果,すべての動作識別法において91%以上の識別率を得た.最も識別率の高かったサポートベクターマシンを用いた動作識別法では,被験者平均で94.1%を示し,最も高い被験者で98.0%,最も低い被験者でも90.9%であった.この結果より,筋電位に基づいて動作識別を行う訓練経験のない,幅広い属性を持つ前腕切断者に対しても,識別器を用いた動作識別法が有効であることが示された.