2017 年 53 巻 2 号 p. 36-45
我が国の鉄道のプラットホームで発生する鉄道人身障害事故やプラットホームからの転落の約60%は酔客が原因である.本研究の目的は,プラットホームに設置している防犯カメラ映像を分析し,プラットホームからの転落や列車接触に至った酔客の転落・列車接触時の行動パターンと転落前に見られる前兆行動を明らかにすることである.その結果,酔客の転落・列車接触時の行動パターンが3種類,転落前に見られる前兆行動が5種類あり,それぞれの行動の発生確率が判明した.また,酔客は転落・列車接触の直前までホーム上で静止しており,動き出してから数秒の間に転落・列車接触に至ったケースが全体の約90%を占めていた.このことから,駅員が前兆行動中の酔客を発見した場合は,速やかに酔客に声をかける等して,酔客の安全を確保することが重要である.