静的座位の持続による身体負担を軽減するために,自動車シートを例に背もたれ下部の支持量の違いが,脊柱アライメント,表面筋電図,自覚負担に及ぼす影響を調べた.第3腰椎下方を目安に実験用シートの背もたれ下部の支持量を調整し,条件Aを基準,条件Bを基準から-15 mm厚,条件Cを基準から-30 mm厚の3つの着座条件を設定した.健常成人男性20名を対象にスパイナルマウスを用いて,腰仙椎角,仙骨傾斜角,腰椎弯曲角,胸椎弯曲角を調べた.また,同参加者18名を対象に3つの着座条件で20分間着座した場合の腰部の表面筋電図と自覚負担を計測した.結果,仙骨傾斜角(p<0.05),腰椎弯曲角(p<0.01),腰部の表面筋電図の平均パワー周波数(Mean Power Frequency:MPF)の相対値(p<0.05)において,着座条件間に有意差を認めた.条件Aは他条件に比べて仙骨の後方傾斜と腰椎の後弯が抑制され,腰部のMPFの低下が抑制された.背もたれ下部のサポートは,着座時の仙骨の後方傾斜と腰椎の後弯方向への変化を抑制し,腰部の局所筋疲労の軽減に寄与すると考えられた.