2022 年 58 巻 4 号 p. 174-185
新しい生活様式に対応した働き方として「ワーク」と「バケーション」を合わせた「ワーケーション(Workcation)」が注目されている.旅先など普段とは異なる環境で働きながら余暇活動を行う,仕事と余暇を両立させる新しい働き方である.しかし,その効果に関する科学的エビデンスは乏しい.本研究では,首都圏の就労者を対象に,運動・スポーツによる余暇活動を取り入れたスポーツワーケーションの実証実験を行い,スポーツワーケーションが精神的健康アウトカム,健康行動アウトカム,心理社会的アウトカムに与える影響を検討した.ワーケーション参加群9人,非参加群35人の経時変化を比較した結果,健康行動アウトカム,心理社会的アウトカムの一部の項目で,参加群のスコアが非参加群と比べ有意に改善し,スポーツワーケーションが就労者の健康と生産性に寄与する可能性が示唆された.