人間工学
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58 巻, 4 号
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エディトリアル
実践報告
  • 松岡 敏生, 安田 府佐雄, 藤原 基芳, 奥野 渉, 北村 拡, 奥山 浩幸
    2022 年 58 巻 4 号 p. 157-162
    発行日: 2022/08/15
    公開日: 2022/08/27
    ジャーナル フリー

    患者の身体特性,安全性に配慮し,かつ作業者の取扱性にも配慮した心臓カテーテル検査時の上肢固定補助具の試作開発およびその検証を行なった.ウレタンフォームで手首を保持する手台を提案し,既存の人体寸法データベースと検査姿勢での手の寸法測定から手台設計値を検討した.その結果,(1)手台凹部幅40 mm,(2)手台凹部高20 mm,(3)手首保持部高35 mm,(4)正面斜面角度45°が設計値として得られた.これに基づいた試作品を検証した結果,遠位橈骨動脈アプローチでは,前腕と手掌がほぼ直線を形成する姿勢が取れており,橈骨動脈アプローチでは,手背が床面に設置することなく手首を持ち上げており,2種類の作業に対して,補助具の機能として十分であることが確認できた.使用者の手のサイズや角度にフィットし,2種類のカテーテル作業を一つの小型の補助具でサポートする上肢固定補助具を提案した.

原著論文
  • 土井 俊央, 村田 厚生, 陰山 和司
    2022 年 58 巻 4 号 p. 163-173
    発行日: 2022/08/15
    公開日: 2022/08/27
    ジャーナル フリー

    本研究では,視線入力システムのポインティング精度と速度を高めることを目的とし,視線によるカーソル移動におけるballistic動作からhoming動作への切替を利用したターゲット予測法を提案し,その有効性を検証した.実験では,ディスプレイ上に提示される5つのターゲットに対するポインティング作業を行い,予測法と視線停留法のパフォーマンスを比較した.実験要因は,ポインティング方法(予測法,視線停留法),ターゲット間隔,ターゲットサイズの3要因とした.評価指標は,ポインティング時間と正答率とした.実験の結果より,予測法はターゲットサイズとターゲット間隔の違いに関わらず一定の速度でポインティングができ,特にターゲット間隔が小さい条件では視線停留法よりもポインティング時間が有意に短かかった.また,多くの条件において予測法のポインティング精度が有意に高かった.以上のことから,ポインティング速度・精度いずれの観点からも予測法の有効性が確認された.

  • 岩浅 巧, 榎原 毅, 水野 基樹, 吉川 徹
    2022 年 58 巻 4 号 p. 174-185
    発行日: 2022/08/15
    公開日: 2022/08/27
    ジャーナル フリー

    新しい生活様式に対応した働き方として「ワーク」と「バケーション」を合わせた「ワーケーション(Workcation)」が注目されている.旅先など普段とは異なる環境で働きながら余暇活動を行う,仕事と余暇を両立させる新しい働き方である.しかし,その効果に関する科学的エビデンスは乏しい.本研究では,首都圏の就労者を対象に,運動・スポーツによる余暇活動を取り入れたスポーツワーケーションの実証実験を行い,スポーツワーケーションが精神的健康アウトカム,健康行動アウトカム,心理社会的アウトカムに与える影響を検討した.ワーケーション参加群9人,非参加群35人の経時変化を比較した結果,健康行動アウトカム,心理社会的アウトカムの一部の項目で,参加群のスコアが非参加群と比べ有意に改善し,スポーツワーケーションが就労者の健康と生産性に寄与する可能性が示唆された.

  • -視線解析を用いた新人看護師との比較-
    岡根 利津, 長谷川 智之, 大平 肇子, 小松 美砂, 斎藤 真, 横山 清子
    2022 年 58 巻 4 号 p. 186-194
    発行日: 2022/08/15
    公開日: 2022/08/27
    ジャーナル フリー

    本研究は,人工呼吸器装着場面において,熟練看護師が患者の状況把握のために選択的に取り込んでいる視覚情報について明らかにすることを目的とする.実験は,集中治療領域の部署に所属する新人看護師(以下,新人群)8名と熟練看護師(以下,熟練群)8名を対象とし,人工呼吸器を装着した模擬患者で再現した安静時と状態変化時の2場面の動画を観察した.解析は,画像上に7つの注視領域を設定し,各領域における注視時間,注視回数,視線移動回数を算出し,各場面で群間および群内比較を行った.その結果,熟練群は2場面ともに患者の顔や人工呼吸器の画面,生体情報モニタの注視時間が長く,かつ注視回数も多かった.特に状態変化時は,新人群より有意に顔の注視回数が多く,さらに患者の顔と人工呼吸器の画面の視線移動回数も有意に多かった.熟練看護師は,患者の顔や人工呼吸器の画面,モニタから重点的に情報を取り込みながら患者の状態を把握していたこと,さらに患者の顔と呼吸器の画面の情報を関連させながら把握していたことが示唆された.

学術集会開催報告
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