人間工学
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原著論文
オンライン講義中に学生の感情を可視化することが教師のパフォーマンスと自己効力感に与える影響
松原 諒之梅室 博行
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2023 年 59 巻 2 号 p. 63-72

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抄録

本研究では,オンライン講義において,学生の感情が可視化され教師に共有された時に,教師のパフォーマンスと教師の自己効力感が受ける影響を明らかにすることを目的とした.本研究では,被験者が互いの顔が見えないオンライン模擬講義上で実験をおこなった.模擬講義中に教師に学生の感情が可視化される可視化有り条件と,可視化されない可視化無し条件の2つの条件を設けた.模擬講義後に学生役には教師のパフォーマンスについて,教師役には教師の自己効力感について,それぞれ評価してもらった.実験で得られた結果から可視化有り条件の方が可視化無し条件よりも教師の自己効力感が高い有意傾向がみられた.特に,教師の自己効力感の下位尺度である指導戦略への効力感は,可視化有り条件の方が可視化無し条件よりも有意に高かった.また可視化の有無と教授内容との有意な交互作用も見出され, 教師が教えることに困難を感じる内容ほど学生の感情の可視化が有効であることが示唆された.本研究の結果は,オンライン講義における教師の自己効力感の向上に貢献するだけでなく,オンライン講義システムの設計開発に示唆を与えることが期待できる.

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© 2023 一般社団法人 日本人間工学会
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