2024 年 60 巻 5 号 p. 296-304
自動車の電動化や通信技術の進展等に伴い,運転中における情報提示の多様化が予想される.本研究では,一定時間の中で情報が変化する動画の特性に着目し,運転中の動画提示がドライバの運転に及ぼす影響を運転シミュレータ実験によって調べた.24名の一般ドライバを対象に「31文字以上静止画」,「文字スクロール動画」,「短時間繰り返し動画」の各タスク難易度2水準と,「情報提示なし」について,視認行動,運転挙動および主観的不安感を調べた.実験の結果,静止画に対して,動画の特性を有する文字スクロール動画では,1回の視認時間は短いものの,何度も繰り返し視認するため総視認時間が長くなる傾向がみられ,タスク難易度によらず運転への影響が大きいことが明らかになった.したがって,少ない情報を対象に表示時間自体を短くすることで,総視認時間を抑制できるような配慮による,視覚的なディストラクション対策が考えられる.一方,動画の特性を抑制した短時間繰り返し動画は,静止画と同様タスク難易度による影響が大きいことから,記憶操作や保持をさせず容易に情報が取得できる工夫が重要と示唆された.