2025 年 61 巻 2 号 p. 90-96
消化器内視鏡医療の手技では,内視鏡医は左手に内視鏡を把持したまま立位で長時間拘束される.そのため肩部や腰部に難治性の筋骨格系障害(MSDs)を罹患する内視鏡医が多く,特に左肩部MSDsの罹患率には特定の手技に費やした時間の長さとの関連が見られる.本研究では手技環境や内視鏡の操作姿勢を変えずに内視鏡医の負担を軽減するため,内視鏡医の骨盤に装着する補助具を開発して,その効果を実験的に検証した.実験の結果,肘部補助具は内視鏡医の操作部把持による左肩部の疲労を約48%軽減できるなど,負担軽減効果の可能性を見出した.