人間工学
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原著論文
VDT作業者の状態評価のための非接触センシング(第1報)
-映像脈波ピーク検出の精度評価-
竹内 大樹 鎌倉 快之大須賀 美恵子
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2025 年 61 巻 3 号 p. 181-189

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抄録

VDT作業者の状態評価は,作業者の健康管理および作業環境の最適化に不可欠である.覚醒状態や注意集中などの評価には自律神経系指標や脳波・眼球運動に関連する指標が有用であるが,従来の計測手法ではセンサやデバイスの装着が必要であり,作業者の負担や作業動作による計測不備が課題となる.そこで,汎用RGBカメラを用いて複数の指標を一度に非接触計測する手法を開発した.本報告ではそのうち脈波に焦点を当て,SVMを用いて誤検出ピークを検出し除去・補完する手法を実装して評価した.インフォームド・コンセントを得た健康な成人男性13名を対象に,約8 minのVDT作業中のデータを取得し解析した.脈波ピーク検出精度の評価は,指尖脈波から得られるピークを正値とし,偽陽性率5.85%,偽陰性率5.61%,誤検出ピーク除去後の平均脈拍数の比較では,MAE 0.70 bpm,RMSE 0.44 bpmを達成し,実用に耐える性能が得られた.以上より,提案手法は,VDT作業者に負担をかけずに平均脈拍数を推定できるという点で有用であるといえる.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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