人間工学
Online ISSN : 1884-2844
Print ISSN : 0549-4974
ISSN-L : 0549-4974
両眼視野闘争過程の計算機シミュレーション
インパルス間隔のゆらぎが果たす役割の検討
小林 哲生
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 28 巻 3 号 p. 141-147

詳細
抄録
左右の眼に異なる図形刺激を呈示したときに生ずる両眼視野闘争過程において, 左右の優位期間を, 長さをもとに階級に分類し, 各階級に属する個数のヒストグラムを求めると, 経験的にガンマ分布とよく一致することが知られている. しかし現在のところ, なぜ一致するのかという明確な理由はわかっていない. そこで本研究では, 異なる方向を有する2本の直線間で生ずる視野闘争を説明するための神経回路モデルを用い, モデル内の競合する2つの異なる素子に入力されるインパルス列のゆらぎに注目してシミュレーションを行い, ガンマ分布への適合に, このゆらぎが果たす役割の検討を行った. その結果, 各ゆらぎのスペクトルが異なれば, 得られる優位期間のヒストグラムもそれに応じて変化するが, スペクトルが白色に近いほどヒストグラムのガンマ分布への適合度が高くなることが明らかとなった.
著者関連情報
© 一般社団法人 日本人間工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top