抄録
胸部下行大動脈瘤と胸腹部大動脈瘤手術の補助循環回路として,抗血栓処理をした市販PCPS回路と心内血吸引貯血槽を組み合わせたシステムを臨床応用した。本システムは抗血栓処理した遠心ポンプ(バイオポンプ),熱交換器内臓膜型人工肺,体外循環用チューブ,経皮的挿入カニューラからなり,バイパス中の自己血返血に対応するために心内血吸引貯血槽を側回路に準備した(Modified回路)。術野吸引回路は,凝固防止を目的にヘパリン加生食を同時吸引できるダブルルーメンチューブを使用した。抗凝固法は初期投与ヘパリンを1mg/kgとし,ACT値で150~300秒を目標とした。3例の胸部下行大動脈瘤と1例の胸腹部大動脈瘤手術に使用し,従来法の欠点とされているバイパス中の循環動態管理,体温管理,大量出血時への対応,ヘパリン使用量の削減ができ,同手術の補助手段として有用なシステムであることが確認された。