抄録
脳分離体外循環を必要とする胸部大動脈瘤患者の手術成績は,人工血管の改良,手術手技の改善に加え,脳障害予防対策,脳虚血モニタリングなどの実施により近年向上しつつある。そこで我々は,脳分離体外循環を必要とした胸部大動脈瘤患者20例に,通常の開心術中モニターに加え,浅側頭動脈圧,脳波パワースペクトラム,内頚静脈酸素飽和度,経頭蓋局所脳酸素飽和度,レーザードップラー血流計,鼓膜温,前額深部体温などのモニタリングを行い,脳障害予防対策としての脳分離体外循環法ならびに脳虚血早期発見のための術中モニタリングの有用性について検討した。術後脳障害をきたした症例は20例中1例で,当施設における脳分離体外循環法ならびに脳虚血早期発見のための術中モニタリング使用は,手術成績の向上に寄与していると考えられた。