体外循環技術
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開心術時の体外循環におけるヘパリンコーティング回路の有用性
成田 安志樗木 等堺 正仁土井 一義井上 次人原田 道生伊東 正広高木 憲二安武 真一竹森 弘和
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1996 年 22 巻 2 号 p. 21-25

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抄録

開心術時の体外循環(以下,CPB)において,回路内面や人工肺などの異物と血液の接触により,血中の補体が活性化され,これらが術後の臓器不全や異常出血を来たす原因になることは知られている。我々は,CPBを用いた開心術において,通常の塩化ビニール回路使用群(以下,NC群)とヘパリンコーティング回路使用群(以下,HC群)の,CPB前後で各種補体成分および血小板数の計測を行い,臨床的有用性を検討した。対象は1993年11月から1995年5月までの12例であった。C3aはICU帰室時でHC群が低く,血小板数は1PODでHC群が高かった。また,術中大動脈遮断解除からCPB離脱までの時間もHC群で短かった。CPBにヘパリンコーティング回路を用いることで,補体活性化の抑制および血小板の温存傾向が見られた。更に大動脈遮断解除後の補助循環も短時間ですみ,臨床的有用性が示唆された。

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© 日本体外循環技術医学会
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