体外循環技術
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当院における脳分離体外循環について
河田 修一窪田 將司鷹橋 浩黒田 廣森本 清貴上久保 康弘大場 淳一石橋 義光青木 秀俊村上 忠司
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1997 年 23 巻 3 号 p. 49-53

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抄録

弓部大動脈瘤症例19例を対象とし,当院で行った4方式の脳分離体外循環法について検討した。各方式の内訳は,動脈血リザーバ方式膜型人工肺を使用し,送血に全機ローラーポンプにて行った7例,メイン送血を遠心ポンプに変更した4例,通常の体外循環に用いている人工肺と遠心ポンプを使用する方式を用いた4例,および遠位弓部大動脈瘤症例において,静脈圧を上昇させて送血する逆行性脳分離を用いた4例である。各方式の利点として,ローラーポンプは送血流量の調整が容易であり,遠心ポンプは空気送血,逆行性解離,壁在血栓脱落の危険性が減少すると考えられた。遠心ポンプと通常使用している膜型人工肺を用いた方法は,前述の遠心ポンプの有用性に加えて充填量の削減,回路が簡素化され,また,突発的な脳分離体外循環の移行にも対応が可能であり,本法の有用性が示唆された。逆行性脳分離は静脈圧を利用した簡易的な脳分離体外循環であり,通常の体外循環回路でも施行可能なため,特別な回路を必要としなかった。

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© 日本体外循環技術医学会
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