抄録
心筋保護用熱交換器と,上限および下限の圧力制御を有する心筋保護システムKIC-01を利用した,脳分離体外循環回路を試作し臨床使用した。予備実験において,SORIN社製VANGUARD,JM S社製HIPEX,GISH社製STRAIGHT SHOTの3種類の心筋保護用熱交換器を用いて流量600ml/minにおける熱交換率を算出,それぞれ0.67・0.56・0.52であり十分な熱交換能を有していた。VANGUARDを用いた脳分離体外循環回路を作成し,臨床3例に使用したが,ポンプ送血でも危険な圧になることなく無事終了した。KIC-01は上下限の圧力制御の設定ができ,監視が容易となり有用であった。また,作製した回路は従来の方法に比べ,回路が簡素化し組立が容易になり,充填量の削減にもつながり有用であった。