体外循環技術
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右心バイパスによる心拍動下CABGの経験
山鹿 章服部 敏之開正 宏清末 智小林 民男伊藤 敏明西脇 公俊
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2001 年 28 巻 2 号 p. 16-19

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抄録

【要旨】体外循環を使用しない冠動脈バイパス術(Off-Pump CABG)では,右冠動脈末梢側および左回旋枝領域の手術操作で,心臓を脱転,挙上することにより右室流出路の閉塞が起き,心拍出量が低下し血圧の維持が困難になることがある。我々は,大動脈血管壁の強度な石灰化にて体外循環による大動脈造血および大動脈遮断が困難で,右冠動脈末梢側,左回旋枝領域の手術を必要とする症例に対し右房脱血,肺動脈送血の右心バイパス(RHB:Right Heart Bypass)を用いた心拍動下CABGを行っている。RHBの回路構成は,脱血回路,遠心ポンプ,バブルトラップ,送血回路である。充填量は360mlであった。今回,RHBを用いた心拍動下CABG15例のRHB中の平均橈骨動脈圧,平均肺動脈圧,平均中心静脈圧,混合静脈血酸素飽和度について,RHB開始前,開始直後,冠動脈吻合中,RHB終了直後の変動を観察した。RHB送血流量は平均2.11±0.70l/min,灌流指数は平均1.41±0.50l/min/m2であった。RHB中,経時的にみた各パラメータに有意な変動は認められず,安定した循環動態を保つことができた。また,回路内に気泡混入などの問題はなかった。

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© 日本体外循環技術医学会
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