体外循環技術
Online ISSN : 1884-5452
Print ISSN : 0912-2664
ISSN-L : 0912-2664
体外循環動脈ライン用バブルトラップの安全性と有効性について
芦村 浩一山田 佳央牛島 一男國友 隆二上村 晋一北村 信夫宇藤 純一
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 28 巻 2 号 p. 20-23

詳細
抄録

【要旨】多くの施設では,体外循環中の微小塞栓やマイクロバブルによる脳や肺などの合併症を防止する目的で,40μm程度の孔径を持つフィルタが動脈ラインに装着してある。ところがこの動脈フィルターはセッティングに時間を要するばかりか,充填量も多く,しかもフィルタと血液成分の多大なる接触による血小板数の減少,出血量増加などが危惧される。そこで我々は,従来使用してきたヘパリン結合動脈フィルタをバブルトラップに変更し,その安全性と有効性について検討した。体外循環前を100%とした体外循環後,およびICU入室後の血小板保存率は,バブルトラップ使用群で高い傾向にあった。術中出血量,術後ドレーン量はいずれもバブルトラップ使用群で少ない傾向にあった。ヘパリン結合動脈フィルタ使用群およびバブルトラップ使用群ともに,送血側に30μm以上の大きさのマイクロバブルは認められなかった。体外循環中の止血凝固系温存の一因として,人工心肺回路内のバブルトラップ使用が有用ではないかと考えられた。バブルトラップは動脈フィルタと同等のマイクロバブル捕捉能があった。バブルトラップを使用したことにより,準備時間の短縮,充填量の削減が図れた。

著者関連情報
© 日本体外循環技術医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top