体外循環技術
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膜型人工肺のバイオラインコーティングとバランスコーティングの臨床的比較検討
木下 真仲田 昌司畑中 祐也山本 奈緒岩崎 純子篠原 智誉江成 美絵中村 有志酒井 裕紀
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2001 年 28 巻 2 号 p. 24-26

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抄録

【要旨】今回我々は,Medtronic社製バランスコーティング膜型人工肺MAXIMAFORTE(M群)10例,およびJOSTRA社製バイオラインコーティング膜型人工肺QUADROX(J群)10例を対象として,ガス交換能,血液学的データ,回路構成について比較検討した。ガス交換能については,人工肺ガス層-動脈血酸素分圧較差(MaDO2)と炭酸ガス排出能による比較検討を行った。その結果,MaDO2および炭酸ガス排出能では両群間に有意差を認めなかった。また,血液学的データの比較ではLDH,CPK,好中球,フィブリノーゲン,FDP,C3,C4,CH50において両群間に有意差を認めなかった。血小板は体外循環開始30分後にM群が有意に低値を示した。GOT,白血球は帰室直後にJ群が有意に高値を示した。当院の回路構成への適応については,血液の流入および流出路が,当施設の人工心肺回路走行に逆らわないQUADROXの使用において,チューブ回路の余分なプライミングボリュームを減少することができた。人工肺の高性能化がすすむ現在,両人工肺の性能に関して,差はほとんどみられなかった。しかし,当施設の回路構成において,QUADROXの有用性に着目された。

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© 日本体外循環技術医学会
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