抄録
【要旨】人工心肺中に2種類の血液浄化を使用し,血液浄化法を比較検討した。対象は人工心肺中に血液浄化を併用した25例を対象とし,血液浄化の方法は血液透析群(HD群)12例,血液濾過群(HF群)13例であった。両群を比較した結果,電解質では終了時のNaでHD群が有意に高く人工心肺中の変動が少なかった。終了時のKではHD群が有意に低かった。低分子量物質の除去性能では終了時のBUNでHD群が有意に低かった。Crでは両群間に有意差を認めなかったが,除去性能はHD群が良好な結果となった。水分バランスはHD群+609mL,HF群+1,529mLとHD群が有意に少なく,水分バランスの面でもHD群が良好な結果となった。BEでは両群間に有意差は認められなかった。操作性でもHD群が簡便な手技にて施行可能であり,当院における人工心肺中の血液浄化法はHDが優れていると考えられた。