体外循環技術
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人工心肺中の除水方式の違いによる炎症性物質除去能の検討
黒光 弘幸伊勢 英志渡辺 史宏夜久 均蔦田 泰之岡 克彦吉村 茂晴石丸 靖二中川 宜明北村 信夫
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キーワード: 血液濾過, サイトカイン
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2002 年 29 巻 2 号 p. 129-132

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抄録
【要旨】近年,CPB中の血液浄化法が注目されているが,血液濾過方式の違いに関する報告は皆無である。そこで,2001年7月から9月までに行われた待機成人症例から10症例を無作為に選択し,血液濃縮器AQUASTREAM JH-110を用いて濾過方式の検討を行った。濾過方式は,濾液側の吸引により容易に高いTMPが得られる急速陰圧濾過方式と,血液流動抵抗で濾過する緩徐陽圧濾過方式の二種類とし,それぞれの濾過方式についてCPB中に増加する炎症性物質の除去能を比較した。その結果,今回検討した炎症性物質のうち,TNF-α およびIL-6については,濾過方式に拘らず除去効果が認められた。更にTNF-α に関しては,急速陰圧濾過方式が有用であった。TNF-α は前炎症性サイトカインであるため,急速陰圧濾過方式は炎症性物質除去とサイトカイン誘導抑制の双方に有用であると考えられた。
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© 日本体外循環技術医学会
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