現在,生体適合性に優れたヘパリンコーティング回路が開発され広く使用されている。今回我々は,より生体適合性を高める目的に,ソフトリザーバーを使用した半閉鎖型回路(C群)を試作し,従来使用している開放型回路(0群)とを,生体適合性,凝固・線溶系について比較検討を行った。C群5例,O群7例を対象とし,白血球数,血小板数,遊離ヘモグロビン,穎粒球エラスターゼ,インターロイキンー6(IL-6),トロンビン・アンチトロンビン複合体(TAT),α2プラスミン・インヒビター・コンプレックス(PIC),FDP・D・ダイマー(D・ダイマー),フィブリノーゲンをヘパリン前,人工心肺開始後15分,60分,プロタミン投与後60分,1病日後に測定し比較検討を行った。白血球数,血小板数,遊離ヘモグロビン,顆粒球エラスターゼ,PIC,フィブリノーゲンでは,両群間に差は見られず同じ推移での変動が見られた。TAT,D・ダイマーでは,O群に比べC群でプロタミン投与後上昇傾向が見られたが,術後1病日には両群とも術前値に復していた。IL-6では,人工心肺開始後60分でC群に比べ,O群で上昇したが有意差は見られなかった。ソフトリザーバーを使用したC群は空気との接触が少ないため,より生体適合性に優れていると考えられたが,今回の検討では有意差は見られなかった。