体外循環技術
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開放型回路と半閉鎖型回路との比較
―生体適合性,凝固・線溶系について―
押山 貴則鬼頭 貴志宮島 真悟小林 力成澤 隆田中 弘之
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2003 年 30 巻 2 号 p. 97-99

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抄録

現在,生体適合性に優れたヘパリンコーティング回路が開発され広く使用されている。今回我々は,より生体適合性を高める目的に,ソフトリザーバーを使用した半閉鎖型回路(C群)を試作し,従来使用している開放型回路(0群)とを,生体適合性,凝固・線溶系について比較検討を行った。C群5例,O群7例を対象とし,白血球数,血小板数,遊離ヘモグロビン,穎粒球エラスターゼ,インターロイキンー6(IL-6),トロンビン・アンチトロンビン複合体(TAT),α2プラスミン・インヒビター・コンプレックス(PIC),FDP・D・ダイマー(D・ダイマー),フィブリノーゲンをヘパリン前,人工心肺開始後15分,60分,プロタミン投与後60分,1病日後に測定し比較検討を行った。白血球数,血小板数,遊離ヘモグロビン,顆粒球エラスターゼ,PIC,フィブリノーゲンでは,両群間に差は見られず同じ推移での変動が見られた。TAT,D・ダイマーでは,O群に比べC群でプロタミン投与後上昇傾向が見られたが,術後1病日には両群とも術前値に復していた。IL-6では,人工心肺開始後60分でC群に比べ,O群で上昇したが有意差は見られなかった。ソフトリザーバーを使用したC群は空気との接触が少ないため,より生体適合性に優れていると考えられたが,今回の検討では有意差は見られなかった。

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© 日本体外循環技術医学会
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